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2025年における持続可能性、AI、メディアのトレンドをITリーダーが予測
私は毎年、年末の時期に、新しい年がテクノロジー分野にとってどのような年になるかを考えます。トレンドの要素を考察すると、データストレージがすべてにおいて重要であるという当然の結論にたどり着きます。
しかし、今年は異なるアプローチを採用しました。私たちは、さまざまな業界のパートナーやお客様に連絡を取り、2025年に何が起こるかについて彼らの視点に基づく意見を求めました。彼らには、持続可能性、AI、メディアに関するさまざまな専門知識があります。そのため、2025年に各分野で起こりうる変化やデータ需要について、ユニークな洞察を得ることができました。
データセンターにおける再生可能エネルギー
IT購入の意思決定において、持続可能性は引き続き大きなポイントとなっています。2023年の調査では、44%の回答者がクラウドストレージサービスを選択する際、パフォーマンスや拡張性よりも持続可能性を最も重要視すると答えました。データセンター業界において、問題となるのは土地や建物ではなく、電力です。
持続可能性グループZerocircleの創設者Hemanth Setty氏は、この問題に真っ向から取り組んでいます。Setty氏は、AIの進歩(詳細は後述)は、データセンターのリソース消費を悪化させると考えています。電力と冷却を利用した再生可能ソリューションも存在しますが、これには地理的な制約が伴います。
Setty氏は、データセンターの電力問題を解決する効率性は2つのアプローチによって生まれると述べています。それが、持続可能なデータセンターとエネルギー効率の高い計算です。計算負荷の高いワークロードの消費電力を減らすことができれば、再生可能エネルギーや冷却を利用した作業がより容易になります。
現在、ストレージはコンピューティングほど大きなエネルギーを必要としません。CPU、特にGPUは大量の電力を消費しますが、HDDはそれほどではありません。実際、ディスクドライブの容量が増加すると、モーターは同じ量の電力を消費するため、ビットあたりの消費電力は改善されます。次世代のソリッドステートストレージが登場すれば(すでに存在するものの、回転ディスクに比べればまだ高価です)、同量のデータ保存に必要な電力量は、ほぼ10分の1に削減されると思われます。
AIの進歩
市場におけるAIの役割は、インターネットが初めて登場したときと少し似ています。インターネットが進化するにつれて、創造性と新しいアイデアが爆発的に増加し、これまで誰も見たことも、可能だとも思っていなかったことが実行できるようになりました。うまくいくもの、いかないものがあり、やがてすべてが落ち着きましたが、最終的には明らかに世界が変化しました。私は、AIも同じ道を進むことになると予測しています。
IBM Cloud PlatformのゼネラルマネージャーであるUtpal Mangla氏は、AIはまだ始まったばかりだとしたうえで、AI普及とともに、以下の3つが大きく求められるようになると予測しています。
1)オープン性
多くの企業は、オープンなアーキテクチャやフレームワークを求めています。また、それらを深く理解し、ソースが何であるか、どこから来ているか、モデルはどのように構築されているかを把握する機能も必要です。
2)ガバナンス
顧客は、AIプラットフォームが信頼できるものであることを知る必要があります。その信頼を築くために、チェックとバランスの整備が求められます。
3)データ
データはAIの成功の基礎となります。データの品質と出所は、あらゆるAIモデルの構成要素となります。データセットのソースと信頼性は、テクノロジーとしてAIを普及させるうえで不可欠な要素です。
Wasabiにとっては、3番目のポイントを特に重視しています。AIで行うことはすべて大量のデータを伴うため、この点における私たちの立場は非常にシンプルです。どの鉄道にもシャベルが必要なのと同じで、トレーニング用のデータが増えるほど、より良いモデルが作られます。
メディアの需要
メディアは長い間、ストレージの技術と実務を支えてきました。フォーマットの容量要件を考慮すると、ビデオストレージの需要は高くなる可能性があります。
TDガーデンおよびボストン・ブルーインズの技術担当副社長、Josh Carley氏には、100年に渡るフランチャイズの歴史を守る責任があります。しかし、データが埃をかぶったゴミ箱の中に眠っていることは想像に難くありません。チームが閲覧、アクセス、維持することができなければ、データは無用の長物です。Carley氏は、大規模なアーカイブを維持する唯一の手段として、クラウドストレージを選択しました。拡張性の高いクラウドストレージがあることで、復帰した選手がアリーナを訪れる際や、ブルーインズのOBに敬意を表する際、必要なときに必要なデータを見つけることができます。
実際、LTOテープからクラウドストレージへのメディア移行に対する関心が高まっています。映画、テレビ番組、スポーツイベント、ポッドキャスト、ニュース番組、インタビュー、ホームビデオなど、膨大なビデオアーカイブがテープの形で保管されています。これらのアーカイブを無視するのではなく、即座にアクセスして活用できるクラウドに保存したいと考える組織は少なくありません。
放送局ITVのインフラおよびネットワークチームリーダーであるJordyde Muijnk氏も、メディアの将来におけるクラウドの役割について、Carley氏と同様の見解を示しています。
確実に言えるのは、2025年には2024年よりも多くのデータが生成され、ストレージがあらゆる業界の企業や新興テクノロジーにとって不可欠な商品であり続けるということです。Wasabiは引き続き、データを手頃な価格で効率的に保存することを使命として掲げています。