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企業が今すぐ取り組むべきデータ保護とは?クラウドストレージ活用のすすめ
企業にとって「データ」はビジネスの生命線です。顧客情報、売上データ、技術情報など、さまざまなデータが日々蓄積され、活用されています。一方、増加するサイバー攻撃をはじめ、自然災害やヒューマンエラーなど、企業の周囲にはデータ消失のリスクも渦巻いています。そこで重要となるのが「データ保護」です。
この記事では、企業が取り組むべきデータ保護対策について分かりやすく解説します。効果的なデータ保護のステップについて学び、自社のデータ保護に役立ててください。
企業にとって重要な「データ保護」
企業が存続し成長を続けていくうえで、データ保護は必須の取り組みです。ここでは企業にとってデータ保護がなぜ重要なのか、具体的なリスクを交えながら解説していきます。
増加するサイバーリスク
近年、サイバー攻撃は巧妙化・悪質化しており、企業にとって大きな脅威となっています。なかでもランサムウェアによる被害は増加傾向にあり、企業活動を麻痺させる深刻な事態を引き起こしています。
中には、ランサムウェア攻撃によって、サービスが1か月以上にわたり利用不能になり、従業員やの取引先などの個人情報も流出した例もありました。
法規制や業界ルールへの対応
EUのGDPR(一般データ保護規則)や日本の個人情報保護法など、データ保護に関する法規制は世界的に強化されています。違反した企業には高額な罰金が科せられるケースも少なくありません。
さらに、金融業界や医療業界など業界によっては、データ保護に関する独自のルールが設けられている場合があります。これらのルールに精通し、遵守することはすべての企業にとって重要な責務です。
顧客・パートナーとの信頼構築
顧客は、自分の個人情報が適切に管理されていることを期待しています。もしデータ漏洩などが発生した場合、顧客からの信頼を失い、顧客離れに繋がっていく可能性もあるでしょう。
近年では、企業を選ぶ基準として、セキュリティ対策の充実度を重視する顧客やビジネスパートナーが増えています。ISO27001(ISMS)などのセキュリティ認証を取得することも、企業の信頼性を高め、顧客やビジネスパートナーとの良好な関係を築くうえで有効な手段です。
データ保護の基本戦略
データ保護を実現するには、多層的な対策を講じる必要があります。ここでは、基本となる3つの戦略を紹介します。
データバックアップ
サイバー攻撃や災害、ヒューマンエラーなど、データ消失はさまざまな原因で発生します。いざという時に備え、データのバックアップを定期的に実施することが非常に重要です。
ここでは代表的なバックアップの方法として知られる「3-2-1ルール」を紹介します。
データの3つのコピーを保持する(元データと2つのバックアップ)
異なる2種類の媒体に保存する(例:外付けハードディスクとクラウド)
1つはオフサイト(遠隔地)に保管する
最後の「オフサイト」については、従来はテープ媒体を遠隔地の保管庫に輸送する方法が主流でした。しかし近年ではクラウドストレージを利用するケースも増えています。
アクセス管理
重要なデータへのアクセスは、必要最低限の従業員に制限します。アクセス権限を適切に設定することで、不正アクセスや情報漏えいのリスクを低減できるでしょう。
また、二要素認証の導入も効果的です。二要素認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンに送信されるワンタイムパスワードなど別の認証要素を組み合わせることで、本人確認をより確実にする方法です。
加えて、データの暗号化も有効な防御手段と言えます。データを第三者に解読できない形式に変換することで、たとえデータが盗まれたとしても、内容を保護することができるでしょう。
社員教育
人的ミスは、データ消失や情報漏えいの大きな原因の一つです。このため従業員一人ひとりがセキュリティ意識を高め、適切な行動をとることが重要です。
社員の意識を高めるためには、定期的なセキュリティ研修を実施し、サイバー攻撃の手口やセキュリティ対策の重要性、個人情報保護のルールなどを周知徹底する必要があります。
研修の内容としては、フィッシング詐欺の事例やランサムウェアの感染経路、パスワード管理の重要性、ソーシャルメディア利用における注意点などが挙げられるでしょう。
クラウドストレージがデータ保護に優れている理由
データ保護を強化する方法として、近年特に注目されているのがクラウドストレージです。ここでは、クラウドストレージがデータ保護に適している理由について説明します。
安全性と信頼性
多くのクラウドストレージプロバイダーは、高度なセキュリティ対策を講じています。以下に挙げるのは、データを安全に保管するためのさまざまな仕組みの一部です。
データ暗号化:保存データはもちろん、転送中のデータも暗号化され、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐ
冗長化:複数のデータセンターにデータを分散保存することで、1つの障害が発生してもデータを失うリスクを回避する
高い稼働率:99.99%の稼働率を保証するプロバイダーも多く、システムダウンによる業務停止のリスクが極めて低い
オンプレミスサーバーで同様のセキュリティレベルを維持するには、多大なコストと労力が必要となります。専門のセキュリティ担当者を雇用したり、高価なセキュリティ機器を導入したりする必要があるからです。クラウドストレージであれば、これらの負担を軽減し、最新のセキュリティ技術を容易に導入することができます。
低コストとスケーラビリティ
クラウドストレージの別のメリットは、初期投資が少なく、必要な時に必要な分だけストレージ容量を利用できるため、コストパフォーマンスに優れていることです。
さらに、クラウドストレージは、ビジネスの成長に合わせてストレージ容量を柔軟に増減することができます。急激なデータ増加にも対応できるため、将来的な拡張性を考慮する必要がありません。
限られた予算内で効率的にデータ保護を実現できるクラウドストレージは、多くの企業にとって非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
クラウドストレージによるデータ保護のステップ
クラウドストレージを効果的に活用し、堅牢なデータ保護体制を構築するためには、適切な手順を踏む必要があります。具体的なステップは以下の通りです。
自社のデータ保護状況の診断
まずは、現状におけるデータ管理体制を客観的に評価し、課題を明確化することが重要です。以下の項目を参考に、自社のデータ保護状況を診断してみましょう。
データの棚卸:どのような種類のデータが、どこに、どのように保管されているかを把握しているか?
リスクの洗い出し:サイバー攻撃、自然災害、ヒューマンエラーなど、どのようなリスクにさらされているか?
既存の対策:データバックアップ、アクセス管理、社員教育など、どのような対策を講じているか?
法令遵守:個人情報保護法などの関連法規に準拠しているか?
これらの項目をチェックリストとして活用し、現状を把握することで、改善すべきポイントが見えてきます。チェック内容に不安がある場合は、専門のセキュリティコンサルタントに診断を依頼するのも良いでしょう。
適切なクラウドストレージプロバイダーの選択
クラウドストレージサービスは、さまざまなプロバイダーから提供されています。自社のニーズに合ったサービスを選択することが重要です。
プロバイダー選びのポイントは以下の通りです。
セキュリティ:データ暗号化、アクセス制御、多要素認証など、セキュリティ対策の内容
信頼性:稼働率、データセンターの所在地、災害対策など
コスト:ストレージ容量、データ転送量、サポート費用などを考慮した料金体系
スケーラビリティ:ビジネスの成長に合わせてストレージ容量を柔軟に増減できるか
サポート体制:日本語サポートの有無、緊急時の対応方法
コンプライアンス:GDPR、個人情報保護法など、必要な法令に準拠しているか
さまざまなクラウドプロバイダーのサービス内容や料金体系を比較検討して、自社にとって最適なサービスを選びましょう。
データ保護ポリシーの策定と実行
クラウドストレージを導入する際には、データ保護ポリシーを策定し、運用ルールを明確化することが重要です。データ保護ポリシーには、必ず以下のような内容を含める必要があります。
目的:データ保護の目的、重要性を明確にする
対象データ:保護対象となるデータを明確にする
責任者:データ保護の責任者を明確にする
バックアップ:バックアップの実施頻度、保管場所、復元方法などを規定する
アクセス管理:アクセス権限の設定、パスワード管理、二要素認証などを規定する
データ削除:データの削除方法、保管期間などを規定する
教育:従業員に対するセキュリティ教育の内容、実施方法などを規定する
インシデント対応:データ漏洩などのインシデント発生時の対応手順を規定する
データ保護ポリシーは「策定したら終わり」ではありません。従業員に周知徹底し、定期的に見直しを行うことで、実効性を高めていきましょう。
まとめ
この記事では、企業にとってデータ保護が重要な理由と具体的な対策について解説してきました。サイバー攻撃や自然災害、ヒューマンエラーなど、企業のデータはさまざまな脅威にさらされています。データ保護は、企業の持続可能性と成長を支えるための重要な基盤と言えるでしょう。
クラウドストレージは、安全性、信頼性、コストパフォーマンスの面で、データ保護を強化するための最も効果的かつ現実的な解決策です。最新のセキュリティ技術を駆使したクラウドストレージサービスを活用することで、企業は貴重なデータを安全に保管し、ビジネスの継続性を確保することができます。
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