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FinOpsとは?予算超過を防ぐ実践フレームワークの進め方

2026 January 23Mayuko Yoshitome

DX推進に伴いクラウド利用が拡大する中、想定外の請求額に頭を抱える「クラウド破産」のリスクが高まっています。単なる節約ではなく、投資対効果を最大化する経営戦略として注目されるのが「FinOps(フィンオプス)」です。

本記事では、FinOpsの基礎知識や実践フレームワークを解説するとともに、FinOpsの天敵である「予測不能な変動コスト(データの下り転送料金など)」を排除し、コスト最適化を実現する方法について提案します。

FinOps(フィンオプス)とは?言葉の意味と定義

まずは、FinOpsという言葉が持つ本来の意味と、よくある誤解について整理しましょう。

定義と語源

FinOpsとは、「Finance(財務)」と「DevOps(開発・運用)」を組み合わせた造語です。これは特定のツールやシステムを指すものではありません。クラウドの財務管理に対し、IT(エンジニア)、財務、ビジネスの各部門が垣根を超えて協力し、データに基づいた意思決定を行うための「規律」もしくは「文化的慣行」のことです。

従来、クラウドコストは財務部門が管理するもの、あるいはIT部門が技術的に処理するものとして分断されがちでした。FinOpsは、全員がコストに対する説明責任を持ち、組織全体で最適化に取り組む体制を目指します。

コスト削減との違い

FinOpsについて最も多い誤解は、「クラウド費用を安くすること(コスト削減)が目的」というものです。もちろん結果として無駄は削減されますが、FinOpsの本質は「クラウド支出から最大のビジネス価値を引き出すこと」にあります。

例えば、ビジネスの成長スピードを加速させるためにあえてコストを増やす判断が必要な場面もあります。単に予算を削ってイノベーションを阻害するのではなく、効率的な投資を行い、事業収益(リターン)を最大化する「攻めのコスト管理」こそがFinOpsの真髄です。

なぜ今、FinOpsが求められているのか

なぜ今、多くの企業がFinOpsに注目し、導入を急いでいるのでしょうか。その背景には、クラウド特有の事情と組織的な課題があります。

クラウド支出の増大

総務省の「令和6年 通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、クラウドサービスを利用する国内企業は全体の80.4%に上ります。これに伴い、クラウド関連のインフラ支出は、多くの企業にとって負担となりつつあるのが実情です。

こうした状況を放置すれば企業の利益が圧迫され、経営課題にも直結しかねないため、早急な対策が求められているのです。

ITと財務のサイロ化(分断)

従来の組織構造では、IT部門と財務部門の間に溝がありました。エンジニアは「開発スピードと品質」を最優先KPIとし、財務部門は「予算遵守とコスト削減」を重視するため、両者の利害はしばしば対立します。

しかし、従量課金制のクラウドでは、エンジニアがコードを書き、リソースを起動したその瞬間にコストが発生します。従来の予算管理だけではこのスピードに対応できないため、部門横断的な連携が不可欠です。

FinOps実践のための3つのフェーズ

FinOpsを組織に導入し、定着させるためには、The FinOps Foundationが提唱する3つのフェーズを反復することが有効です。

Diagram of FinOps cycle on a blue background: green circle labeled "Optimize," blue "Operate," and orange "Inform," connected by arrows.
  • フェーズ1:Inform(可視化)

  • フェーズ2:Optimize(最適化)

  • フェーズ3:Operate(運用)

フェーズ1:Inform(可視化)

最初のステップは現状把握です。「誰が、何に、いくら使っているか」をリアルタイムで可視化します。

クラウドの請求書は複雑で、そのままではどのプロジェクトがコストを消費しているか判別しにくい場合があります。そこで、リソースにタグ付けを行い、コストを各部門やプロジェクトに正確に配賦(アロケーション)します。これにより、各チームに「自分たちの使ったコスト」としての当事者意識が芽生え、自律的な管理への土台が築かれます。

フェーズ2:Optimize(最適化)

可視化されたデータに基づき、無駄を省いて効率を高めるフェーズです。具体的には以下のようなアクションが含まれます。

  • 使用されていないリソースの削除や、開発環境の夜間停止などを行う

  • 過剰なスペックのインスタンスを、適切なサイズに変更する

  • リザーブドインスタンス(RI)や、コミットメントベースの割引(確約利用割引)などを活用する

フェーズ3:Operate(運用)

最適化を一過性のイベントで終わらせず、継続的なプロセスとして定着させるフェーズです。予算超過を検知するアラート設定や、ポリシー違反のリソース作成を制限するガードレールの設置など、自動化ツールを活用してガバナンスを効かせます。

加えて、定期的なレビュー会議を開催し、ビジネス目標とクラウド活用が整合しているかを常に評価し続ける体制も作ります。

FinOpsを阻む「予測不能なコスト」の正体

FinOpsのフレームワークは強力ですが、実践する中で多くのCTOが突き当たる壁があります。それは、どれだけ管理しても排除しきれない「予測不能なコスト」の存在です。

どれだけ最適化しても残る「変動費」のリスク

フェーズ2(最適化)でインスタンスを予約購入し、ベースとなるコンピューティング料金を固定費化したとします。しかし、クラウドコストには完全な固定化が困難な「従量課金要素」が残ります。

その代表格が、データ転送料(Egress料金)やAPIリクエスト料金です。これらはサービスのアクセス数やユーザーの利用状況に比例して発生するため、事前に正確に見積もることが非常に困難です。キャンペーンでアクセスが急増した月や、バックアップからのリストアが必要になった際に、これらの料金が青天井で膨れ上がり、予算を崩壊させることがあります。

予実管理を難しくする「見えないコスト」

FinOpsの核心の一つは、将来の支出を予測(Forecast)し、計画的な投資を行うことにあります。しかし、複雑な課金体系に起因する予測不能な追加コストは、正確な予算策定を妨げます。

「見えないコスト」への不安があると、財務部門はバッファを多く積まざるを得ず、攻めの投資判断が鈍ります。また、毎月のように発生する「想定外の請求」の原因究明に追われ、FinOpsサイクルの「Inform(可視化)」と「Optimize(最適化)」の精度と信頼性が著しく低下してしまいます。

変動コストを排除し、FinOpsを成功させるインフラ選定

Wasabi Hot Cloud Storageのように「下り転送料金やAPIリクエスト料金がかからないサービス」を採用して、ストレージコストを固定化することは、FinOpsを成功させるうえで有効な戦略のひとつです。

複雑な変動要素を排除すれば、コスト構造がシンプルになり、可視化や将来予測(Forecasting)が容易になります。その結果、IT部門と財務部門は「想定外の請求」について議論する時間を減らし、どこに投資すべきか、どの施策が事業価値を生むかといった本質的なテーマに集中しやすくなります。

まとめ

FinOpsは単なるコスト削減ではなく、ITと財務が連携し、クラウド費用を「攻めの投資」に変えるための重要な仕組みです。その成功の鍵は、継続的な改善と、計画を狂わせる「予測不能なコスト」の排除にあります。

管理工数をかけずに予実精度を高めるには、インフラ選定の段階で変動要素を取り除くことが最も賢明な近道です。予測可能なコスト構造を持つWasabiは、持続可能なFinOpsを実現し、企業のビジネス成長を支える強力な基盤となるでしょう。

Wasabi Hot Cloud Storage

予算超過を防ぐためのコスト設計

FinOpsを実践するうえで重要なのは、可視化や最適化だけでなく、予測不能な変動コストをいかに減らすかということです。

Wasabiの料金体系は、下り転送料金やAPIリクエスト料金を気にすることなく利用でき、ストレージコストの予測精度向上と予実管理を支援します。

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